環境にやさしい温浴施設とはどのようなものでしょうか。環境や省エネルギーにも配慮した温泉・銭湯の設備設計のあり方を考えます。プラス計画設計事務所

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環境にやさしい温浴施設とは Ecology
 

温泉のこと

温浴施設の計画で温泉を掘削するか否かがよく議論になりますしかしその前に真水の水源がなければ温浴施設運営は基本的に出来ないのです。井戸を掘削できない規制のある地域であるとか、汲み上げ量に制限があるとかです。或いは掘削可能でも使えないような悪い水の場合もあります。 そして使った水は捨てなければいけません。排水が安価に出来るかどうかが大きなウエイトを占めます。

魅力的な温泉は宝物でしょう。泉質や温度、量が豊富などの魅力を備えるものがそうです。ただし逆のことも言えます。泉質が悪く温度が無く少量という事もあります。 大量の温泉を下水道に排水して料金を支払うのももったいないし、どんどん汲み上げないと泉温も出ないことも多いのです。 源泉掛流しということばが軽々しく言われますが新規掘削をして本当に掛流し運転を実施しようとすれば莫大なランニングコストをかけるか、ごくまれな優秀な適温の大量の温泉を掘削するしかありません。

 
温浴施設の省エネ・環境対策例
 

○基本計画

屋外の貯水槽など機器類と機械室、浴室をうまく配置するのが最大の省エネ環境対策です。給湯管や濾過配管が延々と伸びる施設を多く見ます。いくら優秀な効率のよい機器を使用してもこれにより台無しになります。 非化石燃料化へ地球規模での動きがあります。しかし計画をどう位置づけるかを十分にふまえていなくてはなりません。電力メインのときも間伐材ペレット焚きが有利な土地環境もあります。地熱温泉エネルギーが十分に利用できるときもあります。そういう条件をどうチョイスするかが鍵になります。

○機械室

ボイラなどの廃熱利用は可能ですがこれは燃焼効率が上がればあがるほど廃熱が少なくなりますから必ずしも効果的とは言えません。廃湯熱交換器は全国的に昔ながら銭湯で使用されていたものです。排水のにおいと清掃を怠らなければ使用水量と廃湯の量が比例しますから効果てきめんです。

○露天風呂

大人気の露天風呂は実は省エネルギーの最大の敵です。空中地中への放熱が大きいのです。影の悪役は漏水です。岩風呂を構築してみると分かりますが完全にとめることは不可能です。いかに小さくするかです。

○浴槽

浴槽の築造には最新の注意が要ります。水漏れはまさかと思われますが省エネルギー性の視点から問題ですし、とくにレジオネラ対策で保健所などの環境衛生など行政が指摘していないところでこの問題が生じています。

○サウナ

サウナは特殊設備として責任施行で実施されることが多く、このことに異論は無いのですが、配置が問題になることがあります。やはりサウナ室内を高熱にするわけですからいくら断熱があると言っても熱は伝わります。これが脱衣室などに伝導すると冷房しながら加熱する最悪のエネルギーの無駄遣いとなります。

○喫煙室

喫煙室は室内配置すると換気量を大きくするため大きな冷暖房負荷となります。理想は全面禁煙ですが、そうできないケースもあります。その場合 出来れば屋外配置し負荷を小さくする計画をおすすめします。

○飲食コーナーと厨房

温浴の飲食コーナーは一般的に湯上がりの待合室などにオープンに接続されます。飲食のにおいで誘引することや、ふらっと立ち寄ることを期待していますが現実は火気使用の厨房と一体的になってしまうため、膨大な換気負荷となり冷暖房負荷が大きくなります。何らかの間仕切りが可能であればエネルギーロスを防ぐことが可能です。